当院の診療(診断・治療)
我が国の2019年の統計では年間に51,420人(男性27,416人、女性24,004人)の方が大腸がんで死亡しています。人口あたりの罹患数(1年間で新たに診断された人)は10万人あたり120.9人(男性141.1人、女性101.7人)です。死亡数については男性では肺がんに続いて2位、女性では1位と非常に多い病気です。大腸がんになるには様々な要因がありますが、本邦においては特に食生活の欧米化の影響を受けて増加傾向にあると考えられています。症状が出てからでは進行した状態でみつかることが多いため、無症状のうちに大腸がん検診を受けることをお勧めします。またご家族に大腸がんになった方がおられる場合(家族歴がある方)は大腸がんのリスクとなりますので、必ず検診を受けるようにして下さい。大腸がんにおいては早期で発見された場合は内視鏡にて治療を行います。進行大腸がんの場合は外科手術、化学療法、放射線療法を組み合わせて治療を行います。それぞれの治療方針は、定期的に消化器内科・消化器外科でカンファレンスを行い、最良の治療を議論し決定しています。
適切な治療のためには正確な内視鏡診断が不可欠となります。当院では拡大内視鏡検査、超音波内視鏡検査など最新の内視鏡検査を行うことが可能です。また内視鏡検査に加えて造影CT、PET-CTなどの画像検査を行い、病気の進行度(病期:ステージ)を決定します。ステージⅠ~Ⅲの大腸がんに対しては手術が治療の中心となります。大腸の周りにはリンパ節という組織があり、がん細胞が転移を起こすことがあります。そのため、リンパ節も含めた大腸の切除が必要となります。進行度が高くなるほどリンパ節転移の頻度も高くなるため、より広範な切除を行います。肛門に近い直腸癌では、先に放射線治療を行ってから手術を行うこともあります。ステージⅣの場合、手術で根治する可能性は低く、抗がん剤が治療の中心となります。大腸癌の場合、ステージⅣでも転移している部位の切除が可能であれば、抗がん剤治療を組み合わせるなど、最終的にすべてのがん組織の切除を目指した治療を行います。手術は当院では腹腔鏡手術を中心に行っています。腹腔鏡手術はカメラを用いて行い、開腹手術に比べて繊細な操作が可能で、手術の傷もかなり小さいため、体への負担が少ない手術となります。さらに現在当院では、直腸癌に対してはほとんどの手術をロボット支援下に行っています。ロボット手術は腹腔鏡よりも繊細な操作が可能であり、より確実に、より負担の小さい手術が可能と考えています。
内視鏡の技術や機器の発展に伴い、早期の大腸がんであれば多くの症例で内視鏡切除(ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術)が可能です。ESDは内視鏡で行う手術であり体の負担が少ないです。粘膜内に留まった早期の大腸がんではESDのみで治癒が期待できます。進行大腸がんに対しては外科治療が第一選択となりますが、全身状態によっては化学療法を組み合わせた治療を行うことがあります。化学療法では近年話題になっている分子標的治療薬が使用可能であり、大腸がんの治療も様々な選択肢が増えてきており、患者さんの状況と相談しながら治療法を決定していきます。当院の特色として、他院で治療が困難と考えられた難易度が高い早期大腸がんに対しても積極的にESDを行っております。その他、最新の情報に関しては外来担当医に直接お尋ね下さい。
診療実績
大腸がんに関する解説
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