TREATMENT

骨軟部腫瘍

対応可能な診療科

当院の診療(診断・治療)

骨軟部腫瘍とは、骨にできる「骨腫瘍」と軟部組織(筋肉、線維、脂肪、神経、血管など)にできる「軟部腫瘍」の総称です。体中いたるところにできますが、四肢(手足)、体幹浅部、後腹膜腔(お腹の後ろ側)に好発します。骨軟部腫瘍は、良性と悪性に大別され、悪性は骨や軟部組織そのものから発生した「原発性」と内臓などにできたがんが転移した「転移性」に分類されます。原発性悪性骨腫瘍は「骨の肉腫」といわれ、主なものに骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫などがあります。原発性悪性軟部腫瘍は「軟部肉腫」といわれ、主なものに脂肪肉腫、未分化多形肉腫、平滑筋肉腫、滑膜肉腫などがあります。骨の肉腫、軟部肉腫が「がん」に分類されます。肉腫(骨の肉腫と軟部肉腫)の頻度は全がん腫の1%以下とされており非常に希な疾患です。希な疾患ではありますが種類が多く、全身のいたるところに生じ、小児から高齢者まで罹患します。そのため整形外科だけでなく各外科系診療科、腫瘍内科、小児科、放射線科、病理診断科などが連携(集学的治療)する必要があります。悪性骨軟部腫瘍が疑われる場合は安易に治療を行わず、専門施設で行うことが重要です。当院は、中四国で8施設のみである希少がん情報公開専門病院(軟部肉腫)に登録されている他、整形外科医では数少ないがん治療認定医、日本整形外科学会認定・骨軟部腫瘍医が専門的な診療を行っています。

・骨軟部腫瘍の診断
適切な治療のためには正確な病理診断が不可欠となります。骨軟部腫瘍は種類が多く、それぞれが稀な疾患であるため病理診断が難しいとされています。当院では正確な診断のため、通常行われる組織のヘマトキシリン・エオジン(HE)染色のみでなく、免疫染色、遺伝子診断を組み合わせ正確な診断を行います。
 
・肉腫の内科的治療
肉腫には抗がん剤治療が必要なものが少なくありません。適応を判断し、適切なタイミングで行います。特に骨肉腫、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫は抗がん剤治療が非常に重要な治療であり小児科、腫瘍内科などと連携して行うこともあります。進行期の肉腫では抗がん剤、放射線治療を中心とした内科的治療が中心になります。また、がん遺伝子パネル検査(ゲノム検査)、ゲノム医療も可能です。
 
・肉腫の外科的治療
多くの肉腫は根治するためには外科的切除が必要になります。40年以上前(1970年代)までは四肢に発生した肉腫の多くで四肢切断術が行われていました。現在では、どの施設でも画像検査・病理検査の結果に基づいて綿密な計画を立てて、可能な限り身体機能が保持される罹患肢機能温存術式を行っています。手術により失われた組織は、各種人工関節、液体窒素処理骨移植(切除した骨を凍結処理して還納する方法)、各種皮弁(皮膚・筋肉・骨を移動させる方法)を用いて機能再建を行っています。
 
・転移性骨腫瘍(がんの骨転移)の治療
骨は様々ながんの転移部位となります。骨転移は前述した肉腫に比べ頻度は非常に高くなりますが、各種がん治療の進歩により長期生存も可能です。しかしながら転移部位を切除することで根治できることは稀です。痛みや骨折、脊髄圧迫による麻痺を起こさないことが重要です。当院では、原発科(原因のがんを扱う科)、整形外科、放射線治療科、緩和ケアチームなどで定期的な骨転移カンファレンスを行い、常に最適な治療を検討しています。具体的には放射線治療、手術、薬物治療(鎮痛薬、骨修飾薬)などを組み合わせて治療を行います。

骨軟部腫瘍に関する解説

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