TREATMENT

腎がん

対応可能な診療科

当院の診療(診断・治療)

腎がんは腎実質に発生する悪性腫瘍です。2019年の統計によると、わが国における腎がんの罹患率および死亡率は、それぞれ人口10万人あたり23.3人、7.6人とされ、近年増加傾向にあります。性別では男性は女性に比べて2-3倍罹患しやすく、年齢では50歳代後半から増加し、70歳代前半にピークとなります。腎がんの5年生存率は、ステージⅠ:約98%、ステージⅡ:約81%、ステージⅢ:約56%、ステージⅣ:約20%とされ、早期発見が重要となります。症状は早期のうちは無症状で、最近では約70%の人が検診などで偶然発見さる偶発がんです。進行する程症状は強くなり、全身症状(発熱、倦怠感、体重減少)、原発巣による症状(血尿、側腹部痛、腫瘤触知)、転移巣による症状(血痰、腰痛)などが見られるようになります。また、症候腎がん(症状のある腎がん)は偶発がんに比べて予後が悪いことが知られています。患者さんの腎がんの状態に合わせて、最良の治療方法を決定いたします。
 
腎がんでは、有用な腫瘍マーカーは現在のところありません。よって、診断は基本的に腹部エコー、CT、MRIなどの画像検査を中心に行われます。しかし、画像診断の精度にも限界があり、術後の病理診断で良性腫瘍と判明する例が約10%存在します。
腎がんに対する薬物療法は、進行例(外科的切除不能例や有転移例)に対して施行されます。腎がんは抗癌剤や放射線の効果がやや不良であるという特徴があり、以前はサイトカイン療法(インターフェロンαやインターロイキン2)しか薬物療法の選択肢はありませんでした。しかし、2008年以降になって次々と分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬、mTOR阻害薬)が認可され、2016年以降には免疫チェックポイント阻害薬が認可されたことによって、薬物療法の選択肢および予後は大幅に改善されました。近年では、薬物療法の1次治療として、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた併用療法が認可され、さらに良好な治療効果が報告されています。しかし、これらの新規薬剤は良好な治療効果の反面、特有の有害事象の発生率も高く、これらの有害事象をいかにコントロールしてくかが今後の課題となっています。
 
腎がんに対する外科的治療は、一般的に4cm以下の腎がん(小径腎がん)では腫瘍だけを摘除する腎部分切除術が、それ以上の大きさの腎がんでは腎摘除術が適応となります。腎部分切除術は腎摘除術に比べて、同等のがん制御を有することに加え、術後の腎機能温存や心血管イベント減少の点で優れていることが証明されています。術式については、技術の進歩に伴って鏡視下手術やロボット手術が行われる比率が高くなっており、開放手術は年々減少傾向にあります。特にロボット手術では、拡大明視野による繊細な鉗子操作が可能であり、その他の術式と比較して有用性が高く、現在の主流となっています。その他の治療法として、ラジオ波焼灼術や凍結療法などがありますが、手術治療を上回る効果は証明されていないため、その普及率は高くありません。高齢や併存疾患により手術が困難な例を対象として、限られた施設で行われているのが現状です。

腎がんに関する解説

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