TREATMENT

尿路上皮がん

対応可能な診療科

当院の診療(診断・治療)

尿路上皮がんとは尿路(膀胱、腎盂、尿管)の尿路上皮から発生する悪性腫瘍です。尿路上皮がんは膀胱に発生する膀胱がんと、腎盂、尿管(上部尿路)に発生する上部尿路がんに分けられます。膀胱がんは2016年の統計では死亡数8432人(男性5792人、女性2640人)、上部尿路がんは死亡数4178人(男性2550人、女性1628人)となっています。尿路上皮がんには2つの特徴があります。1つは空間的多発性(尿路上皮のある部位に異所性に多発する)で、上部尿路にがんがある場合、膀胱がんが併存していることや、逆に膀胱にがんがある場合、上部尿路にがんが併存していることがあり、尿路上皮がんと診断された際には尿路すべてのスクリーニングが必要となります。もう1つの特徴として時間的多発性(再発を繰り返す)という特徴が挙げられます。完全切除後に膀胱内に再発を認める頻度が高く、定期的な診察が必要となります。膀胱がん、上部尿路がんでは治療方針が大きく異なります。いずれにおいても最適な治療を提供するためカンファレンスを行い、症例ごとに最良の治療を議論し決定しています。
 
膀胱がんはまず膀胱鏡検査、尿細胞診、CT、MRIで臨床的病期を決定します。その後に麻酔下で診断と治療を兼ねた経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を施行し、病理診断で病期を決定します。膀胱の筋層に浸潤がない場合、後は経過観察、あるいは再発リスクが高い症例に対しては膀胱内注入療法を施行します。膀胱の筋層に浸潤があった場合、TURBTのみでは根治できませんので、転移がなければ膀胱全摘術、尿路変更術が標準的治療となります。
 
上部尿路がんは造影CTでスクリーニングを行います。その後、逆行性腎盂尿管造影検査、尿環境検査で腫瘍を確認します。転移がない場合、腫瘍の存在する側の腎と尿管を全摘する腎尿管全摘術が標準的治療となります。転移がある尿路上皮がんでは残念ながら外科的治療の適応はなく化学療法の適応となります。尿路上皮がんの化学療法の第1選択はゲムシタビン+シスプラチンあるいはカルボプラチン(GC療法)で、1、2、8、15日目に投薬され、28日で1コースとなります。GC療法で効果を認めた場合、免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-L1抗体であるアベルマブを維持療法として投与します。GC療法で増悪してきた場合、抗癌剤の切り替えを行います。第2選択は免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体であるペムブロリズマブの適応となります。21日に1回投薬となります。その後の治療は決まったものはありませんが、当院ではパクリタキセル+カルボプラチン(TC療法)、ゲムシタビン+ドセタキセル+カルボプラチン(GDC療法)等を積極的に行っています。

診療実績

膀胱がんに関する解説

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