TREATMENT

前立腺がん

対応可能な診療科

当院の診療(診断・治療)

前立腺は男性の膀胱出口部の尿道を取り囲んでいる臓器で、精液の一部を作っています。この前立腺に発生したがんは数十年かけてゆっくりと進行する場合が多いと考えられています。近年、PSA(前立腺特異抗原:前立腺がん腫瘍マーカー)検診が普及してきたこともあり、前立腺がんの罹患率は男性の第1位となっています。前述のとおり、前立腺がんは総じて進行が緩やかであり、期待余命や併存合併症の存在、前立腺がんの状態などにより積極的な治療を必要としない症例も少なからず存在します。しかし、一部の前立腺がんでは急速に進行し遠隔転移をきたして命を脅かす危険性があるのも事実であり、前立腺がんと診断された場合には正確な病期診断と適切な治療法の選択が非常に重要となります。前立腺がんに対する治療方法は複数存在し、PSAの経過観察を行う監視療法や男性ホルモンを抑制する内分泌療法、抗がん剤投与による化学療法、放射線療法(組織内照射、外照射)、陽子線療法、重粒子線療法、手術療法などがあります。
 
男性ホルモンの働きを抑える内分泌療法では、LH-RHアゴニスト、LH-RHアンタゴニスト、抗アンドロゲン剤、エストロゲン剤などを使用して前立腺がんの治療を行います。また、これらの作用を期待して両側の精巣を摘除する治療法もあります。診断時に既に遠隔転移を有する患者さんや、高齢や合併症などにより手術や放射線療法などの治療が適さないと判断された患者さんに選択していただくことが多い治療方法です。また、内分泌療法を行っても病状が悪化する状態を去勢抵抗性前立腺がんといい、この段階では、CYP17阻害剤やアンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤などの新規薬剤や、タキサン系抗がん剤などの化学療法を行う場合があります。また、近年では、BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がんに対して、ポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤の使用が認められ、前立腺がんに対する内科的治療にも様々な新しい薬剤が使用可能となってきました。各薬剤の使用に際しては、それぞれ使用基準がありますので、患者さんの病状により治療方法を決定していきます。
 
遠隔転移を認めない早期前立腺がんと診断された場合には、手術療法や放射線療法が選択されることが多いです。当院では、放射線療法として密封小線源療法と外照射療法、あるいはその併用療法を行っています。小線源療法では4日間入院していただき、腰椎麻酔で会陰から線源を約50-100個埋め込む手術を行います。外照射療法では約1ヶ月半から2カ月間の通院が必要となります。また、手術療法では10-14日前後の入院期間が必要で、当院では2010年よりロボット支援手術に積極的に取り組んでいます。放射線療法と手術療法では、その治療効果はほぼ同等と報告されていますが、それぞれに利点と欠点があります。放射線療法では前立腺を摘除しないので正確な病理学的診断ができない、将来的な放射線性膀胱炎や直腸炎などによる出血の可能性、将来的な二次発がんの可能性などが欠点として挙げられます。手術療法では術後の痛みや尿漏れ、勃起不全などが放射線療法と比べて問題となります。患者さんの前立腺がんの状態や生活スタイルについてよく相談して最良の治療方法を決定します。

診療実績

前立腺がんに関する解説

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