TREATMENT

血液腫瘍

対応可能な診療科

当院の診療(診断・治療)

【白血病】
我が国の統計では、2018年に診断された白血病の患者さんは14,287人(男性8,359人、女性5,928人)で、人口10万にあたり11.3人(男性13.6人、女性9.1人)です。高齢化に伴い患者さんの数は増加傾向です。白血病は大きく分けて、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病の4つに分類されますが、それぞれ治療法や予後が大きく異なります。急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病は急速に進行するため、診断後、直ちに化学療法(寛解導入療法)を行います。完全寛解到達後に引き続いて、地固め療法と呼ばれる化学療法を複数回繰り返します。予後不良例や再発例に対しては、同種造血幹細胞移植も行っています。一方、慢性骨髄性白血病では、チロシンキナーゼ阻害薬という内服薬の登場によって治療成績が大きく向上しました。多くの方が外来で内服を継続することで、長期間に渡って病気をコントロールすることが可能になりました。慢性リンパ性白血病は、我が国では欧米に比べ発症率が低く、経過観察することも多い疾患です。また、この領域では、近年新薬の登場が相次いでいますが、治療法について科内のカンファレンスで議論し、適応のある患者さんに対しては積極的に使用しています。
 
血液形態学に基づく診断に加えて、フローサイトメトリーによる表面マーカーの検索や染色体分析、さらには遺伝子検査などを行うことで、正確な白血病の診断を行っています。また、染色体異常・遺伝子異常にもとづいて適切に分子標的薬を使用しています。慢性骨髄性白血病に対するチロシンキナーゼ阻害薬や急性前骨髄球性白血病に対するオールトランス型レチノイン酸や亜ヒ酸などがその代表です。また、染色体異常・遺伝子異常の情報をもとに、予後リスクに応じた治療戦略を立てることが出来ます。予後不良の急性白血病に対して、当院では積極的に同種造血幹細胞移植を行っています。近年、白血病に対して、これまでの化学療法に加えて新規の分子標的薬や免疫療法薬が登場し、治療選択肢が増えてきました。染色体異常・遺伝子異常などの疾患因子と年齢や臓器障害などの患者因子の両方を考慮した最適な治療を心がけています。
 
 
【リンパ腫】
我が国の統計では、2018年に診断された悪性リンパ腫の患者さんは35,782人(男性19,106人、女性16,670人)で、人口10万にあたり28.3人(男性31.1人、女性25.7人)です。高齢化に伴い患者さんの数は年々増加傾向にあります。組織型的にホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別されますが、大半が非ホジキンリンパ腫でホジキンリンパ腫は全体の5-10%程度です。WHO分類(2017)にしたがって、非ホジキンリンパ腫はさらに成熟B細胞腫瘍、成熟T細胞/NK細胞腫瘍に分けられていますが、いずれもさらに細かく数十種類の病型に分類されています。また、病型分類の他に、進行速度に基づき、年単位で進行する低悪性度(インドレント)リンパ腫、月単位で進行する中悪性度(アグレッシブ)リンパ腫、週単位で進行する高悪性度(高度アグレッシブ)リンパ腫という臨床分類も提唱されています。
 
リンパ腫の病理診断のためにCTガイド下経皮針生検や外科的生検などを行います。併せて、生検検体を用いたフローサイトメトリーによる表面マーカーの検索や染色体分析、遺伝子検査などを行うことでより正確な診断が可能になります。病型毎に治療法や予後が異なるため、正確に診断をつけることが重要です。病理診断に加えて、病期診断のためにPET/CTや造影CT、骨髄検査も行います。
 
一般的に手術療法は適応になりません。治療は多剤併用の化学療法が基本となります。リンパ腫の病型ごとに治療法は異なりますが、通常は初回治療として多剤併用の化学療法を6-8回繰り返します。限局期の場合は、化学療法+局所放射線照射の併用療法を行うこともあります。B細胞リンパ腫の多くは、リツキシマブという抗CD20モノクローナル抗体を併用することで生存率の改善が期待できます。一方、成熟T細胞/NK細胞リンパ腫の予後は一般的に不良です。再発時には救援化学療法を行い、若年者で化学療法感受性のある患者さんには積極的に自家または同種造血幹細胞移植を行っています。近年、リンパ腫に対する新規の分子標的薬や免疫療法薬が登場しています。当科ではこうした新規薬剤を使用したり、造血幹細胞移植を行うことで、再発・難治性のリンパ腫患者さんにも積極的に治療を行っています。

診療実績

肺がんに関する解説

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