TREATMENT

卵巣がん

対応可能な診療科

当院の診療(診断・治療)

卵巣は、子宮の両側につながる卵管の先に位置する親指大の臓器です。閉経までは卵巣から女性ホルモンが分泌され、卵子が発育し放出されます(排卵)。卵巣に発生する腫瘍には、良性と悪性、その中間的な境界悪性があります。卵巣がんは、卵巣の表面や卵巣の中にある様々な細胞から発生する悪性の腫瘍です。初期の卵巣がんは、自覚症状がほとんどありません。下腹部にしこりが触れる、腹水がたまってお腹が張るなどの症状で受診した時には進行した病態であることも少なくありません。日本では年間約10000人が卵巣がんにかかり、約4800人が亡くなっています。卵巣がんと診断される人は50歳代に多く、患者数は増加傾向となっています。
卵巣がんの発生には複数の要因が関与しているといわれています。卵巣がんの約10%は遺伝的要因によるものと考えられており、BRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に変異がある場合、遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC:Hereditary Breast and Ovarian Cancer)を発症しやすいことも分かってきています。そのような素因が疑われる方には、専門医による遺伝カウンセリングや、その上での遺伝子診断やリスク低減卵管卵巣切除術を行える体制を整えています。
 
検査として、内診、直腸診、腫瘍マーカー検査、超音波(エコー)検査、CT検査、MRI検査などを行います。画像検査や診察では良性卵巣腫瘍との区別が難しいこともあり、手術によって組織を採取して病理組織検査で診断を確定します。手術が困難な場合は、腹水の検査結果などを参考にして診断することもあります。治療法は、標準治療に基づいて、体の状態や年齢、患者さんの希望なども含めて検討し、担当医とともに決めていきます。
卵巣がんは進行した状態で発見されることが多いため、術後化学療法を行うことがほとんどです。近年、卵巣がんの化学療法は、従来の抗がん剤に加えて新たな分子標的薬剤が導入され、大きく変化しています。副作用をチェックしながら、安全に化学療法がおこなえるような体制を整えています。
卵巣がんの治療は手術と化学療法(抗がん剤治療)に大きく分けられます。術前の検査で境界悪性や悪性が疑われる場合には、術中迅速病理組織検査を予定します。結果が悪性で手術が可能な状態であれば、診断に必要な臓器を摘出して組織型と進行期を診断します。腫瘍を切除する手術が困難な場合や、合併症や高齢のリスクがある場合には、先に抗がん剤治療を行うことがあります。腫瘍が小さくなって切除が可能となったり、全身状態が改善したりしてから再度手術を行います。 卵巣がんでは、手術でがんが取りきれたかどうかが予後に影響し、残存する腫瘍の大きさが小さいほど予後がよくなるため、可能な限りがんを摘出することが原則です。手術後は診断に基づいて化学療法が行われることが多いです。治療法は標準治療に基づいて、全身状態や合併症、進行期を総合的に判断し、患者さんと相談したうえで決めていきます。

診療実績

卵巣がんに関する解説

下記のサイトにてご確認ください