TREATMENT

口腔がん

当院の診療(診断・治療)

口腔とは、舌、歯、歯肉、頬粘膜、硬口蓋などからなり、構音機能や咀嚼などの役割を担い、消化管の入り口としての働きを有する部位となります。この部位に発生する悪性腫瘍を総称し、口腔がんと呼び、舌がんが最も多くを占めます。口腔がんは、がん全体の1~2%をしめる比較的稀ながんで、喫煙や飲酒が危険因子とされ、食道がん、胃がん、肺がんと重複することがあります。口腔がんの約80%以上は扁平上皮がんです。口腔粘膜の重層扁平上皮ががん化したのもので、表面がただれたり、えぐれたり、硬く盛り上がったりします。口腔がんの初期症状は、口内炎のような粘膜の異常であり、がんに特徴的なものではありません。口内炎の場合はおおむね2週間程度で治りますので、2週間以上症状が続く場合は受診が望ましいです。また、口腔粘膜の一部が白色や赤色となり、その状態が1か月以上継続している場合も、がんに移行しやすい粘膜病変の可能性があり受診が望ましいです。口腔がんの残り約20%は、粘膜以外から生じるもので、多くの場合徐々に大きくなるしこりが認められます。病理診断のために病変を一部採取する生検を行います。頸部や全身に転移することがあるため、PET-CT、CT、MRIなどの画像検査で転移病変の有無を調べて、治療方針を決めます。
 
病変が切除可能な場合は、外科的切除を行います。早期がんであれば口腔の病変切除のみで済むため、術後の咀嚼、嚥下、発音の機能障害は比較的軽い場合が多いです。一方、進行がんの場合には切除範囲が大きくなり、欠損が大きくなるため再建手術をあわせて行います。骨が欠損した場合には金属プレートや他の部位からの骨移植を行い、骨以外の軟組織の欠損に対しては、他の部位からの軟組織の移植を行い、口腔機能の維持に努めます。頸部リンパ節に転移が疑われる場合には、転移リンパ節を含め広範囲に切除する頸部郭清術を行います。がんの浸潤を考慮した上で、極力重要組織を温存し、術後の機能低下を防ぐ治療を心がけています。手術で切除した標本を病理検査に提出して、再発が心配される場合には放射線治療、薬物療法による追加治療を行います。術後の経過をみながら、咀嚼、嚥下、発音の機能を少しでも回復させるために、顎義歯や歯科インプラント治療などを行います。この場合のインプラント治療は保険診療となります。
 
手術による根治が難しい場合には、放射線治療を行います。その際には、効果を高めるため化学療法と併用して行われることがあります。放射線治療では唾液低下による慢性的な口渇や長期間にわたる嚥下障害による経口摂取困難が生じることがあります。化学療法は、手術前の導入化学療法や治療後の転移・再発に対して行う場合があります。現在は通常の殺細胞効果をもった、従来からある抗がん剤以外にも、がんを特異的に攻撃する分子標的薬や腫瘍免疫を利用した免疫チェックポイント阻害薬が頭頸部領域においても承認されています。これらを適切に用い、病気のコントロールや生活の質の向上に努めています。様々な治療を行っても、がんが進行するような症例に対しては、光免疫療法も行っています。

口腔がんに関する解説

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