当院の診療(診断・治療)
我が国の2019年の統計では年間に42,931人(男性28,043人、女性14,888人)の方が胃がんで死亡しています。人口あたりの罹患数(1年間で新たに診断された人)は10万人あたり102.2人(男性144.9人、女性61.7人)と近年減少傾向ではありますが、未だ死亡数・罹患数とも高い病気です。胃がんはヘリコバクター・ピロリ菌がリスクになることがわかっています。症状が出てからでは、進行した状態でみつかることが多いため、無症状のうちに内視鏡検診の受診をお勧めします。また2013年からは慢性胃炎にもピロリ菌の除菌治療が保険適応となったため、胃がんの予防のためにもピロリ菌陽性の方は除菌治療をお勧めします。ピロリ菌除菌後も頻度は低いものの胃がんになることがありますので、引き続き内視鏡での検査を受けてください。
胃がんにおいては早期で発見された場合は内視鏡にて治療を行います。早期胃がんの中でリンパ節転移の可能性が少ない病変では、内視鏡によって胃がんを切除することができます(体に傷をつけずに治します)。進行胃がんの場合は外科手術、化学療法を組み合わせて治療を行います。それぞれの治療方針は、定期的に消化器内科・消化器外科でカンファレンスを行い、最良の治療を議論し決定しています。適切な治療のためには正確な内視鏡診断が不可欠です。当院では拡大内視鏡検査、超音波内視鏡検査など最新の内視鏡検査を行うことが可能です。また内視鏡検査に加えて造影CTなどの画像検査を行い、病気の進行度を決定します。現在は内視鏡の技術や機器の発展に伴い、早期胃がんであれば大きな病変であっても内視鏡治療(ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術)が可能です。ESDは内視鏡で行う手術であり体の負担が少ないです。早期胃がんではESDのみで治癒が期待できます。進行胃がんに対しては外科治療が第一選択となりますが、全身状態によっては内科的に化学療法を行うことがあります。化学療法では分子標的治療薬や近年話題になっている免疫チェックポイント阻害薬が使用可能となり、胃がんの治療も様々な選択肢が増えてきています。当院の特色として、他院で治療が困難と考えられた難易度が高い早期胃がんに対しても積極的にESDを行っています。技術や機器の向上に伴って、ESD困難とされる瘢痕症例や広範な病変に対してもESDを行い、よい結果を得ています。その他、最新の情報に関しては外来担当医に直接お尋ね下さい。
ESDの適応とならないリンパ節転移の可能性がある早期胃がんや進行胃がんにおいては、外科的手術の適応となります。外科的手術には、開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術と大きく分けて3つの方法があります。進行度の高い大きな腫瘍では開腹手術を行っていますが、当院ではより体の負担が少ない腹腔鏡手術を積極的に行っています。開腹手術は大きな傷がつきますが、腹腔鏡手術では体にできる傷が5~6か所と多いものの、一つ一つの傷は1cm程度と小さく、術後の疼痛も軽度です。また、精密な手術ができるため出血量も少ない傾向にあります。近年ロボット手術件数が増加してきておりますが、ロボットが勝手にする手術ではなく外科医がロボットを動かして行う手術がロボット手術です。腹腔鏡手術と同じ傷で、ロボットを用いることでさらに精密な手術を行うことができるため、当院でも積極的に行っています。
診療実績
胃がんに関する解説
下記のサイトにてご確認ください